地区の空気や木製の道具に息づいている麹菌や常在菌。

昔から大事に使われてきた木製の道具には、新しく添加する「もやし」と呼ばれる麹の元と、あいまって作用する常在菌が脈々と受け継がれています。はるか昔、500 年~ 700 年前から落合地区の人々と共存してきた麹菌がそこには常在しています。
この伝統的な設備が老朽化に伴い、1980年代に一度は解体の憂き目に遭いました。その時には細々と作り続けている一族が数軒ありましたので、古屋を改造して貸していただける有志の方が伝統の道具一式を引き取って、年に一度スケジュールを組み、「むろ」を解放してくださいました。私はこの頃からみそ仕込みに参加しています。
それから 10 数年の年月が流れ再度、味噌仕込みの伝統存続の危機が訪れました。
500年以上続いたみそ仕込みを絶やしてはいけない!
2022年の冬のことでした。有志の方が病に倒れられ、翌年のみそ仕込みは中止となってしまいました。
このまま手をこまねいていたら、500 年~ 700 年の間、落合地区の健康を支え、中山道を往来する旅人の疲れを癒してきたであろう、みそ汁が永遠に食べることができなくなってしまいます。
父も母も叔父も叔母も従兄弟もみんな困り果てました。
家庭内にとどまらず、みそ仕込みの消失は歴史的・食習慣的にも計り知れないほどの損失です。
黙っていれば消えてなくなる。落合地区のみそづくり文化は静かな静かな消滅となってしまいます。
それではいけない。
私は立ち上がることにしました。